2008年2月21日
ドーソン法
私は、ドーソン法を用いて咬合調性をして、噛み合せのバランスを回復しています。ドーソン法とは、「顎が顎関節にしっかりと左右均等に納まっている状態を噛みあわせの基準点(中心位)として、噛みあわせの調整をする。」方法です。
川村泰雄先生は、「アメリカでは、 日常的な治療においても定着しているスタン ダードな噛み合わせ理論」とお話でした。 しかし、私は口腔外科が専門ですので、補綴処置である噛みあわせに関しては 実際の所はわかりません。
ドーソン法での治療自体には、噛み合せのバランスを良くするために問題はありません。しかし、全ての患者様が噛み合せの調整を行えば顎関節症が良くなるわけではありません。なぜならば、全身的要因(背骨の湾曲・腰痛などによる全身の歪み)、精神的要因(ストレスによる歯軋り・くいしばり)、社会的要因(長時間椅子に座りことによる筋肉力の低下・悪い姿勢による仕事)が、顎関節に悪影響を与えているためと考えています。
顎関節症を訴えて来院される患者様は、女性方が大半です。これは女性の方が、骨格・筋肉系が華奢なために、歪みやすく自己修復しづらいことと、ホルモンバランスなど繊細に体感が反応するためだと思われます。
噛み合せの調整は、熟練を要します。森嶋歯科医院では、症状があり診療を希望する方に限りまして、充分に説明した上、了承していただいて徐々に、少しづつ治療しています。 顎関節症は完治しづらく気長に経過を診ながら治療する必要があるからです。
2008年2月18日
歯周外科手術
おはようございます、Dr.森嶋です。今回は、歯周外科手術に関して書かせていただきます。私は口腔外科が専門ですので、外科領域である歯周外科にも大学院時代から関心があり、積極的に手術した時期がありました。
私は、歯周外科手術に関しまして大掛りな処置(多数歯の周辺歯肉を手術すること)に否定的見解を持っています。
「歯周外科手術」は、歯肉剥離掻爬手術・新付着手術などいろいろな術式があります。手術をすることによって歯周ポケットは消え、歯を支えている骨や歯肉が健康な状態に改善していくと言われています。進行した歯周病では、歯周ポケットが深く、奥のほうにプラークや歯石が付着しています。通常の器具ではそれらを取り除くことができません。そこで歯肉を切開し、奥に付着しているプラークや歯石、また炎症をおこしている組織を徹底的に取り除いたあと、歯肉を元の位置に戻して縫い合わせます。手術後は、傷口を特殊なパックで覆って保護します。これらの手術は、非常に複雑で傷口が大きいために痛みがあります。
森嶋歯科医院では「歯周外科手術」を行わずに、歯周ポケットを浅くする「減張切開」だけを行って好成績をあげています。この処置ですと傷口が小さく痛みがほとんどありません。無痛治療とは、治療中だけではなく治療後の痛みが少ない処置も含めるものだと考えています。
2008年2月15日
支援ネットワーク
おはようございます。Dr.森嶋です。
今回は10年間、保健医療行動科学会で演題発表してきました研究成果の内、支援ネットワークに関しまして書かせていただきます。
一般に、個人がもっている社会関係網を社会ネットワークといいます。その社会関係網のなかで行われる相互作用が“人に対する支援”という性格をもつと認められるものが“支援ネットワーク”です。支援ネットワーク
は手段的支援ネットワークと情緒的支援ネットワークに分けられます。
右の図は、患者様の社会関係網のうち患者様に対する支援という性格をもつネットワーク図です。行動科学学会で医療における支援ネットワークの重要性を症例報告しました時のものです。医療チームだけが、患者様を支えているんではありません。患者様は、社会、家族・友人、心理・宗教チームにも支えられている存在です。
御子息が、顎関節症で苦しんでいるお母様を何とか助けようとネットで調べて高崎からいらした患者様がいます。
顎関節症が治癒された時に「良かったね」と一番喜んでくださったのが御主人だそうです。本当に温かいご家庭・家族(支援ネットワーク)をお持ちです。これが患者様を癒しました。
支援ネットワークが弱体化した患者様は、なかなか癒されません。このことからも医療者は、患者様の肉体・精神のみならず社会環境にも配慮すべきだと思います。
2008年2月12日
歯性上顎洞炎(某歯科医院のインプラント失敗例に遭遇して)
おはようございます。Dr.森嶋です。今回は歯性上顎洞炎(某歯科医院のインプラント失敗例に遭遇して)に関して書かせていただきます。
上顎洞炎の原因としては、上顎の歯根と上顎洞の底部は接近していますので、虫歯とか歯根の炎症が歯根部から上顎洞に波及して上顎洞炎を起こすことがあります。放置しておくと、歯根と上顎洞との間に穴(瘻孔)があき、瘻孔から膿が出てくることになります。または、インプラントの手術時や抜歯などの時の上顎洞粘膜損傷による細菌感染があります。片側だけの場合が多く、頬部の痛み、歯痛、悪臭のある鼻汁が出ることが特徴で、X線写真やCTスキャンで診断がつけられます。
耳鼻咽喉科、口腔外科で上顎洞の手術を行い、必要があれば歯科で歯根部の治療をすることになります。
ある患者様から某歯科医院でのインプラント手術後の頬部の痛みに関して相談がありました。X線写真に上顎洞に落ちたフィクスチャーが確認できました。手術中に上顎洞内に圧入したものと思われます。術後期間が長く上顎洞炎が慢性で軽度であるために投薬して経過を見て、必要があれば母校の口腔外科に紹介する旨を御説明しました。
インプラント手術を含めて外科手術には常にリスクがつきものです。ですから無理のない安全なインプラント手術を行うことを信条にしてきました。25年間、問題なくインプラント手術を行ってきましたが、今回のことは私にとって、慢心することなく今以上に慎重に手術する良い警鐘でした。
2008年2月 9日
2次象牙質
虫歯を治療した後に痛みが出て不安な患者様が来院されましたので、エックス線写真を撮って診査しました。
エックス線写真から、治療前の虫歯は神経に近い深い状態であった可能性が高く、治療行為の刺激のためか、細菌感染のために歯の神経が腫れたと思われます。 深い虫歯の治療では、治療後に痛みが増し、熱いもの、冷たいものが滲みたり、硬いものを噛むと神経にさわるような不快な感覚が出ることがあります。そのため森嶋歯科医院では、深い虫歯の治療の際には、最終処置として詰め物をする前に神経の炎症・感染防止の治療をしていますし、2次象牙質(歯髄に新たに形成される石灰化層)の形成促進処置もしています。
日常の治療時には、無痛治療を心がけています。加えて、深い虫歯の治療には治療後の滲みたり、噛むと神経にさわるような不快な感覚を予防するように、全治療において治療後の不快感の防止に配慮しています。