2008年3月 9日
入れ歯ノイローゼ(歯を抜かれて総入れ歯になる恐怖)
おはようございます、Dr.森嶋です。今回は、25年前の私の体験談を書かせていただきます。
お読みの方は、入れ歯になりますと精神的にも老化することを知っていますか。歯を残すことの大切さには、入れ歯にならずに精神的老化現象に歯止めをかけることも含まれているんです。
さて、私の体験談ですが、口腔外科の医局時代に某精神病院の歯科に派遣されて短期間勤務したことがあります。
多くの患者様が、口腔内の衛生管理が難しく虫歯になりやすい状態でした。いくら虫歯の治療をしてもまたそこに虫歯ができて歯がどんどんだめなっていく患者様が大半でした。残念でしたが歯を抜いて入れ歯にする治療が主でした。入れ歯になった患者様は、無気力になりがちでますますお口の手入れができなくなり、短期間で総入れ歯になりました。精神科の医師に総入れ歯になるとノイローゼ状態が悪化する(入れ歯ノイローゼ=歯を抜かれて総入れ歯になる恐怖がノイローゼ状態にする)と言われていましたが、いざ自分の患者様が総入れ歯(総義歯)になり、ノイローゼになることに直面しますと、安易に歯を抜いて入れ歯にすることに疑問を感じました。このことで歯を残す技術の修練に拍車がかかりました。
また、口腔外科が専門でしたので、精神病で苦しんでいる患者様が受け入れられる入れ歯を作成することは非常に困難でした。困難な入れ歯作成を模索しているうちに総義歯の大家・桜井先生と出会うことができました。先生の教えを受けることができ、精神病で苦しんでいる患者様が受け入れられる入れ歯を作成することに成功して、現在の入れ歯があります。
今振り返ってみますと某精神病院の歯科に勤務して得難い経験ができ飛躍的に技術が向上しましたが、当時は左遷された悲哀に荒れた心境でした。フランクルは、「苦悩により如何に高められし」と人生の苦悩を自己向上の機会と捉えていますが、私みたいな凡人は運がよくて偶然に高められた思っています。
2008年3月 6日
神経麻痺(下顎神経)
こんにちは、Dr.森嶋です。
森嶋歯科医院では、下の親知らずの抜歯はお勧めしていません。理由は、神経麻痺をおこす可能性があるからです。
神経麻痺は、正確には下顎神経麻痺といいます。下顎神経(三叉神経第3枝)が麻痺しますと、下口唇などの知覚等に関与していますので、下口唇に麻痺感が出できます。
患者様が下口唇の麻痺感を相談に来られました。術後3年経ったそうですが、麻痺感がまだあるそうです。執刀医は、「今まで麻痺が出ないから、絶対に安全だ」と言ったそうです。 わたしの場合は、25年間に約3000本抜歯して3名の方に麻痺が出ました。3名ともに3カ月以内に麻痺感は消失して治りました。麻痺の可能性がありますので、伝達麻酔をできるかぎりしません。また、骨への損傷を避けるために歯を細かく分割して抜き、暴力的に力任せに抜きません。それだけ注意しても麻痺は起こるものです。
歯科治療には、偶発事故の可能性があります。患者様の安全を最優先に診療するように常に心がけています。
2008年3月 2日
ロゴセラピー
おはようございます、Dr.森嶋です。
今回は、私が尊敬し多大に影響を受けたフランクル先生が始められましたロゴセラピーに関して書かせていただきます。
先日、歯科恐怖症の患者様が親知らずを抜くために来院されました。歯科恐怖症の彼女を精神的に援助するためにロゴセラピーの手法を用いました。ロゴセラピーは精神的に苦しんでいる人々のため、人生の意味を重視した治療法だと言えます。歯科恐怖症の患者様を精神的に援助するために、ロゴセラピーにおける主な原則「ソクラテスの対話」を用いて、カウンセリング時に来院された意味=意思を強化しています。
彼女は、抜歯前に手が震えて口をゆすぐ時コップを落としそうになりました。顔色は緊張のあまり青くなっています。こんな時は、ロゴセラピーを応用して手術しています。私は、ユーモアを即時対応しながら会話に織り込んでいき患者様の心を私に向けさせて、患者様の心を治療から逸らせる「距離化」を図ります。口腔外科が専門ですので、麻酔は何時したのかわかりません。抜歯は一瞬で行います。そして、止血剤を使用しますので出血しません。彼女は、笑顔で御帰りになりました。
ロゴセラピーの創始者・フランクルは著書「夜と霧」の中で、援助する側の「内的な力」の重要性を述べています。私は歯科の仕事が好きで天職だと感謝していますが、ますます患者様を援助する内的な力を強めたく願います。
2008年2月28日
歯をできるだけ残す治療の価値
おはようございます、Dr.森嶋です。
今回は、入れ歯をやめてインプラントを利用して固定式のブリッジを希望される患者様とお話しした時に感じたことです。
私は、できるだけ歯を残す治療に高い価値を置いて診療しています。歯をできるだけ残す治療の価値は、年を取ること(老化現象)に心理的ブレーキを掛けることです。老人の方で自分の歯がある方は、入れ歯の方に比較して若々しいです。
あるテレビコマーシャルで中年男性が、「おじさん」であることを強調していました。彼は前歯が3本無くて少し禿げていました。「おじさん=老化」であるイメージを心理的に強調するには、前歯が無いことです。
行動科学的に考えますと鏡を見て自分の前歯が無い姿を見続ける行為は、「自分も老いたな」と自己暗示していることになります。「自分も老いたな」と思った人の行動は、まだ若いと思っている人に比べて、全て老人的になってきます。つまり前歯が欠けてくると、精神的に老化現象を加速します。
森嶋歯科医院で、入れ歯をやめてブリッジにした方と前歯を綺麗な色に変えた方が若やぐ姿に感動させられます。その時は、そこしでも患者様のお役に立てたと実感でき嬉しいです。
2008年2月24日
過換気症候群
おはようございます、Dr.森嶋です。
今回は過換気症候群に関して書かせていただきます。
嘔吐反射が酷くて絶望感に悩まされている女性の方が、口コミ
http://www.qlife.jp/hospital_detail.php?hid=985622
を見て家族の方に付き添われて来院されました。以前麻酔時にショック症状が出たそうで、インプラントは無理とのことでした。麻酔薬のショックテストをしてみましたが問題はありませんでした。御話を聞いていましたら、過換気症候群と思われました。
過換気症候群は、精神的な不安によって過呼吸になり、その結果、手足や唇の痺れや動悸、目眩等の症状が引き起こされる心身症の一つです。歯科治療に対する恐怖から患者様が緊張すると過換気症候群は起こりますので、リラックスできれば問題はありません。以前の治療時に、インプラント手術に関して随分大掛かりな治療内容をお聞きしたらしく緊張したとのことです。
行動科学の技法を使いますと患者様をリラックスすることは簡単です。この技法でインプラント手術も短時間に行え、患者様もご家族も喜ばれました。このリラクゼーション法を学んだ時は、歯科医療での応用を思いつきませんでしたが、今は患者様のために非常に役に立っています。