2015年10月24日
【院長ブログ】噛む力のコントロール
歯を一生涯保つためには、噛む力のコントロールが大切なのです。歯の平均寿命を見てみると、第一大臼歯、第二大臼歯が50歳前半ということで、一番短くなっています。もしも、歯を失う原因が細菌的要素だけならば、前歯から失われても良いはずなのですが、そうではありません。つまり、噛む力によるダメージでも、歯は失われるのです。
歯がどんどん失われていくと、最終的には上の歯と下の歯の噛み合う歯が交互になくなってしまう「すれちがい咬合」というものになってしまいます。上は奥歯だけ、下は前歯だけ残っているような状況です。こうなってしまうと歯をうしなうスピードを緩めることは難しくなってしまいます。
噛む力の負担能力が一番高いのは、第一大臼歯といわれる歯です。次に第二大臼歯です。しかし、噛む力の重心は、筋肉の付着位置により、第二大臼歯のやや後方あたりになっていることが多いようです。負担能力が弱い歯に強い力が加わりやすい環境になっているのです。外見上は掛かっている力は見えませんが、この時点での力のコントロールが大切です。
2015年10月 4日
【院長ブログ】親知らずは抜くべきか?
33年前、大学の口腔外科に入局した私は、先輩の先生方に「親知らずは抜くべきかどうかを」質問しました。(親知らずは、第3大臼歯のことで18~30歳くらいになって生えてきます。)残念ながら臨床的データーに基ずくお答えはありませんでした。そこで、私自身で経過を診てみようと右側上・下は抜歯して左側は残してみました。その後、31年経ってとうとう左上の親知らずは虫歯の為に抜歯になりました。その結果分かったことは、上の親知らずは抜かなければならなくなる確率が高いということです。
下の親知らずは、今までに約3000本ほど抜歯しましたが、3例ほど麻痺が出ました。幸い3か月ほどで麻痺は治りました。ですので、よほどの理由がない限り下の親知らずは、抜歯すべきではありません。下の親知らずには、様々な問題がおこる可能性がある為に事前に抜いてしまったほうが良いという安易な考え方がありますが、それは誤りです。医療行為は安全第一に行うべきです。

親知らずを抜くと、もの凄く痛い!というイメージがあると思います。しかし私の場合、上の親知らずを約7000本抜きましたが、痛みを訴えた方は3名です。処置中は痛みもなく、約1秒くらいで簡単に抜けます。(ちなみに、下の親知らずは、実際顔が腫れるような状態になるのはごく一部のものです。)
2015年9月13日
【院長ブログ】口腔常在菌の全身に対する悪影響
虫歯や歯周病の原因菌の口の中の細菌が、糖尿病、心臓疾患、早産、生活習慣病に深く関連しているという報告も多数なされています。つまり歯の病気というと、口の中だけの問題と捉えられがちですが、本来は体の全身の状態と密接に関連しています。

例えば、よく親知らずが腫れてきたり、歯が化膿して痛みが出ている人に「最近、体調はどうですか?」「きちんと眠れていますか?」と質問してみると、「実は風邪をひいています。」「仕事が忙しくてほとんど眠れていません」という言葉が返ってきます。虫歯や歯周病は細菌感染症です。細菌と体は常に戦っています。抵抗力が強い時には、細菌からの攻撃を防ぎ続けていますが、睡眠不足だったり、風邪をひいたりして、抵抗力が下がると一気に細菌の勢力が強くなり、体が負けてしまいます。親知らずの周りや歯周病や虫歯の歯の周りには凶悪な細菌が沢山いますから、それがここぞとばかりに攻めてくるため、腫れたり痛くなったりしてしまうのです。
また、口の中から、管を通して触れるところは全て体の外側です。ですから、口の中、胃の中、腸の中には細菌が沢山存在します。ただし、血管の中や肝臓や心臓の中は体の内部であり本来細菌が一匹も存在してはいけない場所なのです。それが歯周病菌を放置したままにしておくと、歯茎の中の血管から歯周病菌が侵入し、体の内部に侵入してしまうことがわかっています。バージャー病という足の指先が壊死してしまう病気の血管のなかにも歯周病菌が沢山いたそうです。口は体の入り口です。お口の中の管理がしっかりしていないと、さまざまな病気を発症してしまいます。歯のためだけではなく、体全身の健康のためにも、お口の中の細菌のコントロールは大切なのです。