【院長ブログ】術後性頬部嚢胞
おはようございます、Dr.森嶋です。
今回は、インプラント手術に関連して「術後性頬部嚢胞」に関して書かせていただきます。
上顎洞手術後数年から10数年を経て上顎洞内に袋(嚢胞)が発生し、頬部の腫張や疼痛を起こして来る場合があります。嚢胞は1つのことも2つ以上のこともあります。この嚢胞に感染が起こった場合に症状が現れてくることが多く、頬部の痛みと腫れとして始まり、さらに大きくなると、歯痛、涙が流れる、視力低下、複視、眼球突出など眼に関する症状も現れてきます。
このような場合には、CTスキャンを行うと診断がつきます。
治療は、急性症状に対しては、頬部(犬歯窩)から針を刺して排膿を行い、鎮痛剤、抗生剤の投与によって症状を和らげることができますが、根本的には、内視鏡を用いて鼻腔と嚢胞との間の閉鎖部分を開放し、排泄路をつくる手術が必要です。
上顎のインプラント手術に関するセカンドオピニオンを希望される患者様が来院されましたが、某歯科医院で上顎洞底部の骨の長さが充分でないためにサイナスリフトを行うことに関する相談でした。
この患者様の場合は6ミリのインプラントが可能ですので、上顎結節部に10ミリのインプラントを追加してサイナスリフトを行わない方法もあることを御説明しました。人口骨や移植骨を挿入して挙上し、上顎粘膜を損傷した場合、その後上顎洞炎を続発することがあります。その治療は大きな外科処置が必要ですし、その手術後に術後性頬部嚢胞のため10年に1回、上顎洞の再手術をしなければならない危険性があります。その危険性があるために、森嶋歯科医院ではできるかぎりサイナスリフトは行いません。