【院長ブログ】舌の裂傷
以前にかかった某歯科医院で舌を切られてから歯科医院に怖くていけなくなった患者様が来院されました。
通常、歯を削る時に水が出ますのでどうしても舌が動きやすくなります。そのために舌を傷つける可能性がありますので、鏡などでガードする必要があります。
この患者様は、歯科恐怖症で体が硬直して鼻呼吸が困難になり、どうしても口呼吸しがちなために、通常の水平診療の姿勢で歯を削ると舌を傷つけやすい方でした。しかし、顔を横に向けて喉に水がいかない立位診療の姿勢で削りますと、簡単に虫歯の処置が終わりました。患者様も非常に喜ばれました。
大学病院時代、舌の裂傷のため救急車で運ばれてきた患者様の処置に初めて参加した時のことです。大学院1年生の何もわからないとき、たまたま研究室に遅くまでいて佐藤廣前教授(当時は助教授)に助手をするように命じられました。もたもたする私を怒鳴りながら半分切断された舌を手際よく縫合する佐藤廣先生の技術は素晴らしいのもでした。患者様も御無事でした。医療者の不注意による事故に関して、若かった私には良い教訓・警告でした
治療中の事故に関しては、常に慢心することなく注意しています。そして、50歳の年齢になりましたので身体的にも精神的にも診療に当たっては、ベスト・コンデションで臨めるように心掛けています。