【院長ブログ】三叉神経痛
根の治療を某歯科医院で6ヵ月も続けたのに痛みが取れなくてお困りの患者様が来院されました。どうしても痛みがとれなのでその歯を次回抜く予定になっていました。その歯を精査したところ、その痛みの原因が根尖の化膿ではなく三叉神経痛による疑いが強まりましたので、脳神経科の受診をお勧め致しました。脳神経科の受診の結果、三叉神経痛が原因の歯の痛みであることが判明しました。
三叉神経痛とは、顔が痛くなることから、よく顔面神経痛と誤って呼ばれますが、正確には三叉神経痛といいます。額、目、頬、顎そして歯茎が痛くなります。神経の走行は、三叉神経が脳から出た後、3つの枝に分れることから、三叉神経と呼ばれます。その3つの枝は、それぞれが三叉神経の第1枝、第2枝、第3枝と呼ばれます。第1枝は、額、目、鼻梁などの知覚に関与し、その出口は眉の付近にあります。第2枝は、上顎、頬、上口唇などの知覚に関与し、その出口は頬の上付近にあります。第3枝は、下顎、下口唇などの知覚等に関与し、その出口は下顎にあります。以上の枝に沿って痛むのが三叉神経痛です。第1枝の神経痛だと額や目が痛くなりますし、第2枝の神経痛だと上顎(うわあご)の歯や頬が痛くなります。第3枝では下顎(したあご)や下顎の歯が痛くなります。三叉神経痛には2通りあります。一つは瞬間的に痛さが訪れるもの、もう一つは痛さが持続的であるものの2つです。前者の場合、御飯を食べるとき、会話をするとき、歯を磨く時などに瞬間的に激痛が走りますし、後者の場合慢性的な鈍痛が広範囲に続きます。
この患者様の歯は、危うく抜かれるところでした。診断に当たっては、先入観に捕われずに患者様の訴えに耳を傾けて、広範囲に症状を捉えて精査する必要を痛感させられました。