2008年1月15日
【院長ブログ】早期接触
治療後に何となく噛みづらいことに不安を感じている患者様がいらっしゃいました。バイラテラル法にてかみ合わせのチェックをしてみますと、入れた金属に早期接触がみられました。
早期接触とは、中心位(顎関節が最も安定した位置)と咬頭嵌合位(顎関節の状態に関係なく上下顎歯牙が最大に接触する位置)との間の不調和(ズレ)のことです。この早期接触を除去しますと、噛みづらさがなくなりました。このまま早期接触を放置しましたら、将来顎関節症を発症したと思われます。
以前の私にとってかみ合わせに関する知識は、口腔外科が専門でしたので川村泰雄先生に出会う前は大学教育レベルでした。何も知らないのに等しいものでした。川村先生に教えられて治療技術のレベルが上がり医原病を引き起こさずに済んできましたのは幸いでした。究極の治療法などはありませんから、現在に慢心することなく今後更なる治療技術のレベルを上げたく思います。
2008年1月12日
【院長ブログ】安らぎの歯科診療
ある患者様から、残念なことにガイダンスの場で「治療の押し付け」が行われている御話をお聞きしました。
抜歯した後の治療にインプラントの治療のみを強く勧められたそうです。インプラントは優れた治療法ですが、お勧めする場合は患者様の肉体的・経済的・心理的条件を考慮したうえで、ガイダンスの時患者様に心的圧迫を感じさせるべきではないと思います。
森嶋歯科医院では、安らぎの歯科診療として患者様と治療に関して相談している時、常に慰めや希望を見出す治療方向を設定するように心掛けています。
右の図は、「対話におけるロゴス(言葉)による慰め・希望の方向設定=行動目標(5段階)」と題して、昨年の行動科学会で一般的医療におけるコミュニケーションに関して講演した演題です。一般的なロゴス・セラピーを発展段階に応じて図式化しました。
歯科医院において、善意の誘導型コミュニケーションあるガイダンスをおこなう場合は、慰め・希望を見出す治療目標を特に設定し、患者様に示す必要があります。またガイダンスの時は、最善の治療目標であっても、患者様に強要する事のないように注意することが大切です。
森嶋歯科医院での治療目標は、保険診療を主体に患者様の要望があればインプラントや審美歯科などを加えて、口腔の健康を可能な限り回復・維持していくものです。
2008年1月 9日
【院長ブログ】骨隆起(下顎舌側)
インプラント希望の患者様がいらっしゃいましたが、下顎舌側部の骨隆起を何度切除しても再発するため、下の入れ歯が使いづらくインプラントも手術が怖くてお悩みでした。
私は骨隆起の原因は、過剰な咬合圧により骨が増殖することにあると考えています。噛み合せのバランスを回復してから骨隆起を除去しました。半年間骨隆起の再発はありません。
その患者様は、骨隆起の除去手術が以前に比べて早くて簡単で痛みもなく腫れも少なかったので、森嶋歯科医院でインプラントを行うことをお決めになりました。インプラントは、入れ歯に比較して残っている歯に圧力をかけない、違和感がないなどの長所がありますが、手術を伴うために躊躇する患者様もいらっしゃいます。
今回の骨隆起除去手術の成功が、治療に対する患者様の恐怖心を和らげました。多数の出来るだけ痛みの少ない治療の成功例が、患者様の歯科治療に対する心の傷を和らげることを見てきますと、無痛治療の重要性を再認識させられます。
2008年1月 1日
【院長ブログ】保存修復学
あけましておめでとうございます。
今年もいろいろ自分なりに書いて行こうと思います
歯科における保存修復学とは、歯学の一分野で、歯牙の硬組織において病的に生じた欠損に対して、機能回復を行う研究、分析、診断を行う学問です。歯牙の硬組織において病的に生じた欠損とは、初期の虫歯でできた穴のことです。つまり大学病院の保存修復科は、初期の虫歯でできた穴を埋める治療をする科のことです。ちなみに森嶋歯科医院では、出来る限り歯を削らない方針で治療しています。
ある患者様が、自分の歯を残したくて某大学病院の保存修復科を受診したところ、簡単に残せないと診断されて抜歯されてしまった話をなさいました。他の歯の抜歯も強く勧められたために怖くなり、森嶋歯科医院に転院されたそうです。
彼女は、保存修復科を初期の虫歯でできた穴を埋める治療をする科とは知らずに、歯を保存するために抜歯せずに修復する科と思って受診したそうです。私の診断では、彼女の抜歯されそうになった歯は十分に残して使用できる歯でした。
過去の治療行為は変えられませんが、患者様のために「抜かず・削らず・入れ歯にしない」治療目標を今年も堅持していくつもりです。