● 2007年11月のブログ一覧
【院長ブログ】動物実験
私が最初に抜いた歯は、人ではなく犬でした。インプラントなどの口腔外科の実技は動物実験で修練したものです。患者様の体で修練したものではありません。
大学院は4年間で卒業しましたが、前半の2年間は、ひたすら動物実験に専念しなければならず大学病院の診療にたずさわれませんでした。後輩が手術に参加するのをうらやましく思ったものです。その当時、講師でした松本教授(故人)が「森嶋君、焦るな。患者さんを診療したら解かるから」と、いっしょに動物実験をしながら励ましてくださいました。
その私が、手術後の患者様の点滴をはじめてする時、あまりにも簡単に針が血管を捕らえたことに驚きました。犬の場合、血管が見えませんし人に比べて弾力があるため血管に針が入りづらいのです。歯を抜く場合も、犬に比べたら人の抜歯は簡単なことです。結局私は、4年間の過酷な動物実験で、人の臨床で得られる以上の高度な外科技術を習得していました。森嶋歯科医院では、その技術が生かされています。
口腔外科学会で動物愛護団体の方から激しい調子で動物実験を非難されたことがあります。その時は、実験の必要性だけを説明させていただきました。今は、ほとんどの歯科医師が卒業後患者様の体で練習することに比べて、買主に捨てられた屠殺寸前の犬達で練習して、その後その練習成果を臨床に応用してきたことを恥ずかしいことだと思いません。
【院長ブログ】マウスピース(オクルーザル スプリント)
森嶋歯科医院では、原則的に歯軋り防止や顎関節症の治療でマウスピース(オクルーザル スプリント)を用いません。重度の顎関節痛がある場合と患者様が咬合調整をすることに不安がある場合の便宜処置として使用しています。
15年前までは、顎関節症の病態を完全に理解していませんので、マウスピースを使用することにより臨床診断して治療方針を決めていました。診断に時間と費用がかかるわりには、予測した効果が出ませんでした。
また、マウスピースを夜間使用した場合、熟睡できないこととくいしばりが強化・習慣化する欠点があります。マウスピースの長期使用には無理があると思います。
これらのことから私の場合、噛み合わせの安定化を図ることにより歯軋り防止や顎関節症の治療をするほうがマウスピースを使用するよりも効果的だとの臨床経験から考えています。
【院長ブログ】根管治療
私の専門は口腔外科で、博士号を歯根尖切除術の研究でとりました。その関連で専門外の根管治療の方法も動物実験で研究していました。なぜならば研究中、一番苦慮したのは切除した根尖部が感染状態(根尖病巣)になることだったからです。完全に根管内を充填したのにかかわらず根尖部が感染状態になることが、切片標本を顕微鏡で見て確認されたときは、本当に驚きました。
歯学部で教育された根管充填では、顕微鏡下で見ると感染状態になってしまうことがわかりましたが、どうしたら感染を予防できるかわかりませんでした。完全滅菌した手術室なら可能でしょうが、動物実験室は一般診療所並みの滅菌状態ですので完全滅菌は困難でした。当初はラバーダムをしていないからだと思いましたが、ラバーダムの有無は関係ありませんでした。
【院長ブログ】ガイダンス(善意の助言)
患者様からインプラントを無理に勧められた御話をたびたびお聞きします。
医療者としてガイダンス(善意の助言)を行うことが必要な場合がありますが、インプラントが優れた治療法とはいえ、患者様の外科手術に対する御気持ちや経済状態を配慮して強くお勧めすするものではないように思います。
私は、カウンセリングで患者様の御希望をお聞きしながら、コンサルテーションで義歯、ブリッジまたはインプラントの長所と短所をご説明した後、患者様と相談しながら患者様が治療法を決定することを援助しています。医療者は、患者様に意見を求められた場合のみ、ガイダンス(善意の助言)をすべきだと思います。
【院長ブログ】頭痛
毎日頭痛に苦しめられ20年来にわたって頭痛薬を飲みつづけた御婦人が、噛み合わせのバランスを取り戻したら嘘のように頭痛が消えて喜ばれました。
私が噛み合わせのバランスを調整しますと、ほとんどの方の頭痛が消えるか少なくなります。ですから頭痛の原因の95%以上は、噛み合わせのバランスが悪いためにおこる側頭筋、頭頂筋などの筋肉痛と考えています。頭痛が解消しない方の場合は、噛み合わせのバランス以外の脳腫瘍、大動脈瘤や脳梗塞などによる貧血や出血、過度のストレスまたは全身の歪み(腰痛・関節痛)などの関連痛が原因と思います。
頭痛は、外傷と違いまして外から症状が見えませんので、その苦痛を周囲の方が理解しにくいものです。頭痛で御悩みの方は、一度噛み合わせの調整を森嶋歯科医院ですることをお勧めいたします。
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