● 2008年3月のブログ一覧
【院長ブログ】入れ歯ノイローゼ(歯を抜かれて総入れ歯になる恐怖)
おはようございます、Dr.森嶋です。今回は、25年前の私の体験談を書かせていただきます。
お読みの方は、入れ歯になりますと精神的にも老化することを知っていますか。歯を残すことの大切さには、入れ歯にならずに精神的老化現象に歯止めをかけることも含まれているんです。
さて、私の体験談ですが、口腔外科の医局時代に某精神病院の歯科に派遣されて短期間勤務したことがあります。
多くの患者様が、口腔内の衛生管理が難しく虫歯になりやすい状態でした。いくら虫歯の治療をしてもまたそこに虫歯ができて歯がどんどんだめなっていく患者様が大半でした。残念でしたが歯を抜いて入れ歯にする治療が主でした。入れ歯になった患者様は、無気力になりがちでますますお口の手入れができなくなり、短期間で総入れ歯になりました。精神科の医師に総入れ歯になるとノイローゼ状態が悪化する(入れ歯ノイローゼ=歯を抜かれて総入れ歯になる恐怖がノイローゼ状態にする)と言われていましたが、いざ自分の患者様が総入れ歯(総義歯)になり、ノイローゼになることに直面しますと、安易に歯を抜いて入れ歯にすることに疑問を感じました。このことで歯を残す技術の修練に拍車がかかりました。
また、口腔外科が専門でしたので、精神病で苦しんでいる患者様が受け入れられる入れ歯を作成することは非常に困難でした。困難な入れ歯作成を模索しているうちに総義歯の大家・桜井先生と出会うことができました。先生の教えを受けることができ、精神病で苦しんでいる患者様が受け入れられる入れ歯を作成することに成功して、現在の入れ歯があります。
今振り返ってみますと某精神病院の歯科に勤務して得難い経験ができ飛躍的に技術が向上しましたが、当時は左遷された悲哀に荒れた心境でした。フランクルは、「苦悩により如何に高められし」と人生の苦悩を自己向上の機会と捉えていますが、私みたいな凡人は運がよくて偶然に高められた思っています。【院長ブログ】神経麻痺(下顎神経)
こんにちは、Dr.森嶋です。
森嶋歯科医院では、下の親知らずの抜歯はお勧めしていません。理由は、神経麻痺をおこす可能性があるからです。
神経麻痺は、正確には下顎神経麻痺といいます。下顎神経(三叉神経第3枝)が麻痺しますと、下口唇などの知覚等に関与していますので、下口唇に麻痺感が出できます。
患者様が下口唇の麻痺感を相談に来られました。術後3年経ったそうですが、麻痺感がまだあるそうです。執刀医は、「今まで麻痺が出ないから、絶対に安全だ」と言ったそうです。 わたしの場合は、25年間に約3000本抜歯して3名の方に麻痺が出ました。3名ともに3カ月以内に麻痺感は消失して治りました。麻痺の可能性がありますので、伝達麻酔をできるかぎりしません。また、骨への損傷を避けるために歯を細かく分割して抜き、暴力的に力任せに抜きません。それだけ注意しても麻痺は起こるものです。
歯科治療には、偶発事故の可能性があります。患者様の安全を最優先に診療するように常に心がけています。
【院長ブログ】ロゴセラピー
おはようございます、Dr.森嶋です。
今回は、私が尊敬し多大に影響を受けたフランクル先生が始められましたロゴセラピーに関して書かせていただきます。
先日、歯科恐怖症の患者様が親知らずを抜くために来院されました。歯科恐怖症の彼女を精神的に援助するためにロゴセラピーの手法を用いました。ロゴセラピーは精神的に苦しんでいる人々のため、人生の意味を重視した治療法だと言えます。歯科恐怖症の患者様を精神的に援助するために、ロゴセラピーにおける主な原則「ソクラテスの対話」を用いて、カウンセリング時に来院された意味=意思を強化しています。
彼女は、抜歯前に手が震えて口をゆすぐ時コップを落としそうになりました。顔色は緊張のあまり青くなっています。こんな時は、ロゴセラピーを応用して手術しています。私は、ユーモアを即時対応しながら会話に織り込んでいき患者様の心を私に向けさせて、患者様の心を治療から逸らせる「距離化」を図ります。口腔外科が専門ですので、麻酔は何時したのかわかりません。抜歯は一瞬で行います。そして、止血剤を使用しますので出血しません。彼女は、笑顔で御帰りになりました。
ロゴセラピーの創始者・フランクルは著書「夜と霧」の中で、援助する側の「内的な力」の重要性を述べています。私は歯科の仕事が好きで天職だと感謝していますが、ますます患者様を援助する内的な力を強めたく願います。
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